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美しい自然に囲まれ、ゆたかな土壌が広がるたじまでは、多くの生産者が農薬や化学肥料の使用を抑えた、人と自然にやさしい環境共生型の農業に取り組んでいます。さらに、農業を通して地域貢献を目指す生産者も増えています。その代表例として、食の安全・安心の実現に向け、地域とともに歩む「おおや高原有機野菜部会」の取り組みをご紹介します。
養父市大屋町の北部に位置する「おおや高原」には、およそ300棟もの雨よけハウスが建ち並ぶ「野菜団地」があります。この野菜団地は、おおや高原の標高500~700mの準高冷地に位置しており、準高冷地特有の気象条件を活かして、野菜の有機栽培が行われています。
おおや高原で野菜の有機栽培を手がけているのが、平成9年設立の「おおや高原有機野菜部会」の生産者です。おおや高原で栽培される有機野菜は、ホウレンソウ、キクナ、ミズナ、コマツナ、コカブ、ミニトマト、クウシンサイで、生産者の愛情が込められています。
おおや高原で栽培される有機野菜は、「JAS法(有機農産物の日本農林規格)」で規定された「有機農産物」の認証を得ています。JAS法による有機農産物とは、「化学合成された肥料及び農薬を使用せず、播種または植え付け前の2年以上の間、堆肥等による土づくりを行ったほ場において生産された農産物」のことをいいます。JAS法による有機認証を取得している農作物は、日本で生産される全農産物のうち、わずか0.16%に限られます。
おおや高原の有機野菜は、国による有機JAS認証のほか兵庫県認証食品「ひょうご安心ブランド」の認証も取得しています。「ひょうご安心ブランド」では、「化学肥料・農薬を5割以上低減」「堆肥などによる土づくり」「残留農薬が国基準の1/10以下」に加え、「出荷記録などの整備」という認証審査の基準が設けられており、それらすべてをクリアしています。
但馬牛の牛糞ともみがらで作られた堆肥「おおや有機」を、生産者がそれぞれの堆肥舎で熟成させて使用し、健康で、ゆたかな土づくりと地域の有用資源の活用に努めています。
但馬地鶏の鶏糞とカニ殻で作られた「ぼかし肥料」と呼ばれる有機質肥料を使用しています。さらに、作物の健全な生育と環境に配慮した適正な肥培管理を実践しています。
農薬を一切使わない有機農法で野菜を育てるために、防虫ネットの設置、手作業による害虫駆除や除草のほか、病気に強い品種の導入などさまざまな工夫をこらしています。
全国で初めて「熱水土壌消毒機」を導入したのが、おおや高原です。ぼかし肥料を基本に、有効微生物を増やすための施用方法などの継続的な改善も行っています。
種を蒔いたり、土を耕したり、水をまいたりといった作業をより確実に、効率的に行うために、さまざまな機械や技術を導入しています。
おおや高原で栽培される有機野菜は、消費者・生産者・自然環境にやさしい食品づくりを目指す「生活協同組合コープこうべ」が提唱する「フードプラン」のもとで生産プロセスが管理されており、収穫された農作物はすべてコープこうべに出荷されています。そして、兵庫県全域と大阪府内の一部にある、コープこうべの店舗から消費者の手にわたります。
おおや高原有機野菜部会では、コープこうべの組合員・職員を中心に、年間1,000名以上を産地見学や農作業体験などの場で受け入れています。さらに、地域内での活動として、おおや高原で収穫された有機野菜を学校給食用に提供したり、地元の農業高校と共同で試験や作業を行ったりして、消費者や地域とのつながりを深めています。
おおや高原で実施されているこのような先駆的な動きは、地域内の他の生産者に対する有機農業の波及につながっています。その一例として、酒造会社との契約による有機酒米の栽培や、有機質肥料を使用して栽培された野菜類の直売所等の開設が挙げられます。
おおや高原有機野菜部会は、消費者・地域・他の生産者とのつながりを深め、「マラソン」ではなく「駅伝」のように、時代に継承できる息の長い産地となることを目指します。
生産者の作業の約50%を占めるのが出荷調整作業です。そこで、おおや高原有機祭部会では野菜集出荷所を整備しています。施設の事業主体は養父市、管理運営はJAたじま、労務管理・労力確保はシルバー人材センターが担い、養父市内の知的障害者の皆さんも一緒に作業しています。これにより、生産者は栽培管理に専念でき、高齢者の生きがいづくり、能力活用を可能にするとともに、より新鮮な有機野菜の提供を実現しています。
有機野菜の生産が安定すると、需要の増加に対して生産量増加が求められました。そこで、労働力確保と活性化を目的に、地域外からの新規就農者の受け入れを開始。新規就農者に対して、技術習得と基盤整備、所得確保を目指す栽培技術や経営ノウハウ等の研修を実施。各種事業や資金を活用した施設・機材の整備も行い、早期の安定経営を確立しています。