お酢が無農薬・減農薬栽培の救世主!? 抑草効果実感 コウノトリ育むお米生産部会 

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 水稲栽培において、酢を出穂前の圃場(ほじょう)に散布することで、コナギやクログワイなど、雑草の生育を抑制する効果がある――。2021年度から数人のコウノトリ育むお米生産部会員が、酢による抑草を試験的に始めています。

 同部会が生産する「コウノトリ育むお米」は、生き物との共生を目指して栽培しています。15年以上前の部会設立から「コウノトリ育む農法」として無農薬、減農薬栽培に取り組んでいます。

 無農薬栽培や減農薬栽培は、雑草処理が一番の大敵です。除草機を使っても作業が追い付かず、収量の減少や収穫時の作業性の悪化が問題になっています。こういった実態を打破しようと、月刊誌「現代農業」の情報をもとに生産者やJA職員、豊岡農業改良普及センターらが話し合い、酢による抑草の検討を進めています。酢は酸度15%の醸造酢を希釈して使用しており、除草剤と比べて安価で済むメリットもあります。

 同部会では昨年度から、2人の農家が試験的に始めています。そのうちの一人である株式会社モリタファーマーの森田強さんは、2021年度の酢防除は約1haにとどまっていましたが、今年は無農薬栽培の全面積である約10haに拡大しました。地元企業の日の出ホールディングス株式会社食品カンパニー但馬醸造所(養父市大屋町)から醸造酢を購入し、使用しています。森田さんは「酢による抑草効果のおかげで、除草作業の回数を減らすことができた。収量を増やし、安全安心な高品質のお米を作るために、毎年試行錯誤したい」と話しました。

 コウノトリ育むお米の栽培面積は、2018年に約468haでピークを迎え、今年までほぼ横ばいで推移しています。特に無農薬米については、2020年、21年産と完売が続いており、消費者の実需に応じきれていないのが現状です。JAの担当職員は「雑草処理などの栽培にまつわる不安を少しでも解消し、生産者や面積の増加につながれば」と期待を寄せています。