但馬牛飼育システムの継承を考える 世界農業遺産シンポジウム新温泉町で開催 「美方郡産但馬牛」世界・日本農業遺産推進協議会
兵庫県美方郡(香美町・新温泉町)や県、JAたじまなどで構成する「美方郡産但馬牛」世界・日本農業遺産推進協議会は8月22日、「『人と牛が共生する美方地域の伝統的但馬牛飼育システム』を次世代に」をテーマにしたシンポジウムを美方郡新温泉町の夢ホールで開きました。自治体や畜産関係者ら約150人が参加し、令和5年7月に世界農業遺産に認定された同システムが地域に果たす役割や、次世代への普及と継承の方法について、大学教授や地元中学生らが報告を行いました。
基調講演で東京大学大学院の八木信行教授は、同システムの認定に当たり「明治期から続く牛籍簿による個体管理や、人と牛が同じ屋根の下で暮らす独自の飼育文化が高く評価された」と強調。地元の夢が丘中学校の生徒は「シビックプライド」をテーマに、但馬牛と地域への誇りを発表し「但馬牛を特別な存在から、身近な存在にすることが大切」と訴えました。
地元の中学生や畜産農家ら5組によるパネルディスカッションも行い、但馬牛のPR方法について話し合いました。奈良教育大学の河本大地准教授は「但馬牛の魅力や飼育システムを次世代に発信するため、地元学生や畜産農家によるSNSやウェブサイトの活用を勧めてはどうか」と提案。畜産農家らは「地域のさまざまな立場の人が、美方地域の暮らしや飼育のリアルをSNSで発信し、地域内外の人に但馬牛の存在を身近に感じてほしい」と前向きな姿勢を見せました。
新温泉町長であり同協議会の会長を務める西村銀三氏は「認定から2年が経ち、改めて地域一体となって世界農業遺産の保全と活用に努めたい」と話し、今後の継承への決意を新たにしました。