牛の「健康第一」に県共進会へ臨む 但馬牛の将来を担う香美町の若手畜産農業者 上田晃也さん(28)

HP251020JAたじま 牛の「健康第一」に県共進会へ臨む、但馬牛の将来を担う香美町の若手畜産農業者、上田晃也さん(28)、兵庫・JAたじま.jpg

 美方郡香美町村岡区・小代区で但馬牛を飼育する、㈱上田畜産の上田晃也さんは今年、初めて挑んだ第94回美方郡種牛共進会で念願の一等一席を獲得し、10月26日に開かれる、第107回兵庫県畜産共進会(県共)への出場権を手にしました。牛の健康を第一に考え、飼料を充分に食べてもらえるよう体調を観察し、適切に与えることを大切にしながら、期待を胸に着々と準備を進めています。

 晃也さんは同町村岡区の生まれ。㈱上田畜産は、現在約1,400頭の但馬牛を飼育し、繁殖から販売まで一貫した6次産業を行います。晃也さんも幼少期から牛舎に通い世話を手伝っていました。高校・大学と牛について学び、卒業後に就農しました。

 就農当時、晃也さんは牛の病気への対処に苦労したと話します。牛が肺炎を患い、できる限りの治療や対処をした後は、牛の免疫力と時間の流れに任せるしかなかったそうです。病気に打ち勝てる牛もいれば、衰弱する牛もおり、命と向き合う仕事をしているという重みを実感しました。

 こうした経験から「牛の健康第一」を掲げ、飼料選びや与え方の工夫を徹底しています。上田畜産では、そばや非遺伝子組み換えトウモロコシなど、天然素材を独自配合した飼料を与えており、丈夫な胃袋を持つ牛を育てます。加えて、晃也さんは月齢や牛の体調を常に観察し量を調整。牛が空腹で給餌柵から顔を出したタイミングに合わせて、飼料を与えています。残餌をなくし、食べきってもらうことで健康を維持し、資質と品位の高い牛に育ちます。

 結果、共進会で種牛「ひめ3」が一等一席を獲得。その他、自身が飼育した牛が、今年414日に開かれた、「第1回神戸ビーフ『脂肪の質』共励会」で初代最優秀賞を受賞し、取り組みへの手応えをつかみました。

 晃也さんは「命と向き合う仕事は大変なこともあるが、それ以上にやりがいを感じる。県共で上田畜産は3連覇しているが、まずは『ひめ3』が健康に過ごせることを大切にし、当日に臨みたい」と意気込みを語りました。