忘れられない味を追い求め 「香住なしの学校」から新規就農、宮川司さん

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 美方郡香美町香住区のミノフ高原に広がる梨農園で、香住梨を栽培する宮川司さんは、同町の「香住なしの学校」第2期生として梨栽培について学び、今年に念願だった独立を果たしました。過去に自身が救われた梨の「おいしさ」を追い求めるため、先輩農家の謙虚さを手本に、香住梨「二十世紀」を栽培しています。

 宮川さんは長野県出身。実家は保有米農家で、幼少期に手伝いはしていましたが、農業へのイメージは楽しくない・きつい・同じ作業の繰り返しであり、農家になることは考えていませんでした。その後、自衛隊として就職。「定年まで続ける気持ちでいた」と話します。転機は20歳のころ、自主トレーニングとして長距離を走っていたところ、熱中症の症状を患ってしまいます。なんとか自宅までたどり着くことができ、体調の回復を図るも頭痛が残り悩んでいました。その時に自宅にあった梨を食べ、体に染み渡る「おいしさ」に感動し、農業に関心を持ちました。

 梨農家になろうと決意した宮川さんは、必死に農業をできる場所を探し農業求人サイトを閲覧し、同町の「香住なしの学校」に出会いました。ゼロから就農まで道筋が充実していたことに縁を感じ、同校第2期生として香美町に移住しました。

 在学中は、標高260mのミノフ高原の斜面や、降り積もる雪に衝撃を受けながらも、必死に栽培技術を身に着けていきました。特に46月に行う、袋掛け作業の力加減の感覚をつかむことに苦労した宮川さんは「1年目はたくさん折って落としてしまったが、梨と向き合う心構えを学んだ」と振り返りました。

 今年、独立した宮川さんは、52aの梨の圃場(ほじょう)を継承。毎日の観察に加えて、梨に声を掛けながら栽培を行っています。宮川さんは「先輩農家の、梨を20年、40年『しか』栽培していない。逆に言うと、あと数年『しか』栽培できないとも言える謙虚さや、1年にかける真剣な姿を目の当たりにし、自分にできる梨との向き合い方を考え取り組んでいる」と話しました

 香住梨の出荷は、8月下旬から始まる予定。宮川さんは1の出荷量を目標に、消費者へ高品質の「おいしい」梨を届けるため、栽培作業に励んでいます。