コウノトリ育むお米

活動レポート

豊かな自然環境を体感 消費者が産地で生き物調査

2016.07.06

160703kounotori1.jpg コウノトリが悠然と空を舞い、水田で餌を取る。自然界から一度姿を消した国の特別天然記念物、コウノトリを、豊岡市では当たり前のように見られるようになりました。生産者とJA、市や県が、人と自然環境にやさしい農法「コウノトリ育む農法」を始めて13年。消費者に取り組みへの理解を深めてもらおうと、今年も生活協同組合コープ自然派兵庫の組合員を招いて田んぼの生き物調査を行いました。

 かつては日本各地で見られたコウノトリ。絶滅の大きな原因は農薬や化学肥料といわれています。生産者とJA、市や県が一体となり、コウノトリの野生復帰を目指して、平成15年に同農法を始めました。

 同農法は、農薬や化学肥料を抑えて栽培するだけでなく、冬期湛水や田植え後の深水管理、中干し時期の延期などの水管理が特徴です。一年間で水田に水のある期間が慣行栽培に比べて圧倒的に多く、コウノトリの餌場となる水田を多様な生き物が生息しやすい環境にします。中干しは、オタマジャクシがカメムシなどの害虫を食べるカエルに成長するころの7月上旬に行います。自然や生き物の力を借り、農薬や化学肥料をできるだけ使わずに、安全でおいしい米とコウノトリの餌となる生き物を同時に育てる農法です。

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 豊岡市祥雲寺で7月3日、神戸市などから訪れた組合員家族約60人が田んぼや周辺の水路に生息する生き物を調べました。同生協はコウノトリ野生復帰や環境保全への取り組みに共感し、平成17年から毎年生き物調査や稲刈り交流会を開いています。同農法で生産した特別栽培米コシヒカリ「コウノトリ育むお米」の同生協での取扱量は順調に伸びています。

 参加者らは、カエルやイナゴ、ゲンゴロウなど55種類の生き物を採取し、自分たちが食べているお米が作られる田んぼで、多くの生き物が育っていることを確認し、農法の意義を体感しました。

 家族4人で参加した女性は、「初めて見るものもいて生き物の多さに驚いた。生産者の思いや自然環境の良さを知ることができた」と話していました。

 市内の5人が70aで始めた同農法による稲作は、現在は但馬全域で318人が約370haで取り組んでいます。